右や左を向く時「ネック/顔を返す」という表現を使います。タンゴにおけるシャープなネックの返し方はぜひ修得したい技術の一つですが、一体どういう風にするのでしょう?
SB109 グレードアップするために(その5)
ネック(顔・首)の返し方
タンゴのときだけではありません。ワルツでもスローでもクイックでも、PPになるときの美しいネックの返しだの秘密はとこにあるのでしょうか。
ここでは一つの実験を通し、その手掛かりを探ってみたいと思います。
ここに2つのタイプの顔があるとします。
① お団子型:つまんで回すとお団子だけがまわります。
② お人形型:首の軸が体の中にしっかりと入っているので、回すと胸の中の方までつながっているのが感じられる。
これで実験してみましょう。
= 実 験 =
男性は女性と軽くコンタクトしてスクエアに組みます。
(1) 最初にお団子のような気持ちで顔だけ左に向けましょう。
(2) 次にお人形の様に首が胸の中から生えているという気持ちになり、首の軸ごと回す気持ちで左に向いてみます。
このような2通りの使い方に対し、女性はどの様に反応するかを見ます。手では何もしないこと。
女性は男性とスクエアに組んだら、男性の右肩越しの方向を見ながら男性からのPPのリードを待ちます。そして「ああ、こっちに向くようリードをしているわ」と感じたらそちらの方へ、リードを感じた分だけPPになりましょう。
その時、右手を突っ張りながらPPにならないようにしましょう。女性の右手と男性の左手は軽く握ったままの状態を保つことも大切な練習です。また、何も感じないときは何もしないこと。相手に気を使ってPPになる必要は全くありません。
結果はどうだったでしょう? 実際に試してみると分かりますが、
(1)では女性はじっとしたままですが、男性が(2)の気持ちでネックを返すと女性のネックも返ります。ここにリードとフォローがあることがわかります。手で押したり引っ張ったりしてのリードではなく、ボディーから生み出されるリードがあればそれを機敏に感じ取るフォローも生まれてきます。
コンタクトなしで軽くホールドしていても、また、女性が目をつむっていても結果は同じです。
PPになるスピードも、男性が速くすると女性も速く、ゆっくりとすれば女性もゆっくり、という風に男性のスピードに合うようになりますから試してみましょう。
実際、人体の筋肉図を見ますと首の前部には、<胸鎖乳突筋>が両肩の線の辺りまで、後部には<僧帽筋>が背中の中央辺りまで伸びていることが解ります。ですから顔が首の上に乗っている感覚ではいけないのですね。
これらの筋肉がウエストの下まで伸びているイメージにすると、もっと上手に踊れるのではないかと思います。
ダンスが変わっていく……そんな予感がしませんか?
ハッピー・ダンシング!