ダンスビュウ2017年1月号に「ワルツレッスン雑学」という記事を書かせていただきました。このブログ「私のダンスノート Part 2」では、その原稿に手を加え、3回に分けて紹介しています。今回はその3回目。
#008 ワルツレッスン雑学3
頑張らない方がいい?
✅頑張らない方がいい?
ビル&ボビー(Bill & Bobby Irvine)は現役時代にブラックプールでショーを頼まれました。会場は今と同じウィンター・ガーデン(Winter Garden)の中のエンプレス・ホール(Empress Hall)。ただ、その頃はホールに観客用椅子はなかったので、ものすごく広い場所で踊ったことになります。しかし、そのショーは大失敗だったようです。
マーカスさんがこのときのことを “2006 Happy Training Italy” の中で話しているのですが、その大失敗とは、なんとシャッセ・フロム・PPのことでした!
マーカス・ヒルトンMBE(Marcus Hilton MBE)
「(散々だったショーの後)二人は控室の中で、靴を投げ合う程の喧嘩をしました。そしてすぐさま帰宅。当時は高速道路が完備されていなかったので、ブラックプールからロンドンまで10時間もかかりましたが、そのまま練習場に直行です。
二人はショーのときのように、大きく足を開いてシャッセフロム・PPを踊り、遠くまで行こうとしました。そして、ナチュラル系に入ったところでストップして、ビルはスタートと終わった場所に印をつけました。
次に、もう一度同じステップを踊りました。が、今度は、ビルは目を閉じました。そして、大きく動こうとするのを止め、ロアーしたときにあらゆることが一つにまとまっていられるように気をつけました。すると、前回より1mも遠くに行けたのです」。
マーカスさんの補足説明が入ります。
「この実験でビルが気付いたことは、大きく動こうとしていたときは、脚部だけを動かし、ボディが付いていかなかったからでした。けれど、先程遠くまで行けたのは、動きの正しい原理に従い、つまり、正しいフットワークを使い、ライズ&フォールでボディを集めて動くと、足(脚)も体も動いていった。つまり、体でタイミングを取ったからだ。足を開くタイミングではなかったのだと」。
✅私たちも実験!
頑張らない方が距離が延びる? 本当でしょうか? 実験してみる必要がありそうです。踊りの始めと終わりに目印をつけて・・・・・・。
私たちもサークルでこの実験をすることがあります。そして、実験の後で――――
「①(右人差し指を立てて)頑張って大きく動く。汚い踊りでも構わない。あるいは、②(左人差し指を立てて)頑張らないで踊る。でも①より綺麗で距離が伸びる。さあ、どっちがいい(笑)?」
――こう尋ねると全員、左手を選びます(笑)。
一部変更をしていますが、以上がダンスビュウ誌に掲載した内容です。
✅ブラックプールの写真
ここで2009年に撮影した写真を紹介しましょう。
●1枚目がウィンター・ガーデンという大きな娯楽施設の正面入り口。
●そこから真っすぐ進んで行くと奥にボールルーム会場があります(写真2枚目)。
●そして3枚目は大会前日、ダンス用パネルが敷き詰められていく様子を写したものです。
●4枚目は照明設定をしている所。
スタジオひまわりの仕事をしていなければ、ブラックプールへ行くこともなかったでしょうし、大会のビデオ撮影の機会が無ければ、大会前日の写真は撮れませんでした。本当に有難い事でした。何はともあれ、これがマーカスさんがいう「ものすごく広い場所」です。
✅Happy Training の映像です
これが “2006 Happy Training Italy” (Studio Himawari) の映像です。日本語対応はしていません。
さて、この映像の始まりでマーカスさんがカレンちゃんとシャッセ・フロム・PPをゆっくり踊っていますが、ロアーしたときの形に気をつけるだけで、そして、ロアーの仕方の質を高めることに気を配り続けると、サークルでも、自力で随分上達できると思っています。
当然これは自分に対する言葉でもあります。
ハッピー・ダンシング!