どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中です。今回も足の指の話。最後に書籍にはないお話を追加しました。
MA02 第1章 体に関する11の話
(第2話)トウを縮めない訳
「靴の中の足の指は縮めない」と話しましたが、
「スタンダードでもラテンでも、トウは使うじゃないですか?」
との声が聞こえてきそうです。
はい、スタンダードではライズしたときのみならず、軸足で送るときにも足の指を使いますし、ラテンでは一歩一歩の安定した動きを求める中で、当然、足の指も必要に応じて使われます。
でも、そのときに、「指を縮めると」動きが損なわれるのです。ではここで、体の中を観察する実験をしてみましょう。
- 靴の中の足の指を縮めたまま、ワルツの予備歩からナチュラル・ターン、あるいは、ラテンが好きな人なら、ルンバのオープン・ベーシックを踊ってみましょう。そして、踊っているときの体の中を観察してみましょう。
前進の動きでは、縮めた指に体重がかかる瞬間から骨盤の動きにストップがかかったり、押し戻されたりするのが感じられませんでしたか?
また、後退の動きではヒールに早く体重が落ちてしまいませんでしたか?
指を縮めるのが習慣になっていると、最初は、その僅かな違いを感じにくいかもしれませんが、指先の緊張(=力)が体の中のどのあたりまで伝わっているかをじっくり観察しましょう。
その結果、「足の指を緊張させると動きを損なう」ことが感じられ、そして、「足の指の緊張は必要なかった」と納得できると、不要な緊張を解こうと「体が」思い始めます。
その瞬間から、今までにない、より自由な感覚で踊れることでしょう。
指を縮めるとバランスの悪い動きになります。
踊るときは指も心もオープン!
(「第1章 体に関する11の話(第2話)トウを縮めない訳」おわり)
■追加の話
ここで紹介するのは、2016年JDCコングレスにおけるヘーゼル・フレッチャー(Hazel Fletcher)さんの「トウ」に関するお話の要約です。大変興味深く、かつ、有意義な情報です。
皆さんが今日受け取った情報の多くは、もしかすると、他で聴いたことがあるかも知れません。なぜならそれらはすべて、基本的な論理に基づいた話だからです。どのように立つか、どのように足から足に移動するか――。
で、(今朝)ベッドの中で考えた事は、皆さんに靴を脱いで出てきて貰う事です(大笑)。
皆さんに、私の足を見て欲しいのです。
解剖学的な話をすると、足と手はとても良く似ています。手を前に出し、伸ばした指を少し曲げて固めると、手首を楽に振れないのが分かります。でも、指の力を抜けば手首の自由が回復します。
私は、足首も同じだと思っています。ですから、私はラテン・ダンスを踊ってきた人生の中で、足の指を縮めるような事は決してしていません。
ハッピー・ダンシング!