569 マクスウェル・スチュワート(Maxwell Stewart)
ダブル・リバース・スピンの発案者。1922年から始まったワールド・ダンシング・チャンピオンシップにおいて1924年、1925年と優勝。このときのパートナーはバーバラ・マイルズ(Barbara Miles)さん。1926年にはパット・サイクス(Pat Sykes)さんをパートナーに三度目の優勝。彼もシルベスター氏同様に楽団を持っていました。
《下には用語集に収録されていない情報もあります》
ダブル・リバース・スピンの発案者。1922年から始まったワールド・ダンシング・チャンピオンシップにおいて1924年、1925年と優勝。この時のパートナーはミス・バーバラ・マイルズ(Barbara Miles)。1926年はミス・パット・サイクス(Pat Sykes)をパートナーに三度優勝。1回目の優勝者はビクター・シルベスターでパートナーはミス・フィリス・クラークとなっています。
彼もシルベスター同様に楽団を持っていたようです。このサイトにアクセスすると、彼の楽団の演奏に合わせ、簡単なクイックステップを踏む彼の姿が見られます。また無声になりますが、同じサイトで、1925年優勝直後に撮影されたワルツ(現在のよりかなり速いテンポ)やチャールストンを取り入れたフォックストロット(今のクイックステップ)、やフォックストロットも見る事ができます。当時のダブル・リバース・スピンがみられます。
★マーク・ペルギニ(Mark Perugini)《用語集に収録されていない情報です》
「ダンスとバレエの野外劇(Pageant of the Dance and Ballet)」の著者。1935年初版発行。
570 マシーシ/マシューシュ(Maxixe)
1. 別名ブラジリアン・タンゴ。1870年代にリオデジャネイロで生まれ、サボテンのとげからその名がつきました。ポルカやハバネラにルーツを持ち、マシーシの原型はツー・ステップとある種のタンゴのステップを混合し、それにつなぎのパターンが入っていました。キャッスル夫妻は自称ブラジリアン・マシーシを踊り、それはサンバに似たものでしたがタンゴのように踊るダンサーもいました。マシーシを踊るには、頭と腕を静かにし、特にバウンスをしないよう注意が払われました。(Street)
2. ポピュラー・バリエーション集(ラテン)には同名のサンバのバリエーションが紹介されています。ライト・シャドー・ポジションで右回転しながら、男女が一緒に右足を後ろにフリックするアクションと左足を前方にフリックするアクションが繰り返して行なわれます。
571 マズルカ(Mazurka)
陽気なポーランドの踊りで3/4か3/8拍子の曲で、通常2拍目か3拍目にアクセントがきます。18~19世紀に人気がありました。(Street)
572 マナー(Manner)
➡066 エチケットとマナー
573 マンスリー・レター・サービス(Monthly Letter Service)
1932年、アレックス・ムーア氏により発行されたダンス情報ニュースで、7ヶ国語に翻訳され40カ国の国々で愛読されました。発行のきっかけとなったのは、南アフリカへのデモ・講演旅行中、現地の教師たちが英国から隔離されていると感じていること、そして、世界のダンス事情を知りたがっていることを肌で感じたからのようです。発行当時の交通・通信手段を考えると、このレター・サービスにより英国スタイルのダンスを世界に広めた役割はとてつもなく大きかったことが容易に想像できます。ムーア氏の死後、ジェフリー・ハーン氏とペギー・スペンサーMBEが共同創立したハーン&スペンサー社(現DSI社)に引き継がれ、“レター・サービス”と名を変えて2004年まで続き、その後再び名を“コリオグラファー”と変え、2008年に廃刊となるまで世界中のダンサーに愛され続けました。
574 マンボ(Mambo)
1938年、キューバで起こった踊りで、1950年代、それまで流行っていたルンバが衰退するにつれ、一気に流行りました。歴史的にみると、17世紀にスペインのコントラダンザ(Contradanza)と言う踊りが入ってき、ハイチの奴隷音楽シンキージョ(Cinquillo)と結びついてマンボの原型ができたようです。マンボにはオン・ワン(On One)とオン・ツー(On Two)の踊り方があり、前者では音楽の1で、後者では音楽の2で1歩目がスタートします。
◆マンボとはブードゥー教の巫女を指しますが、アフリカの言葉では「合唱、声」の意味があり、コンゴ語では子守唄とか聖歌のことを表わします。(Street)
575 ミニ・ファイブ・ステップ(Mini Five Step)【T】
ガイ・ハワード氏のテキストにある表現で、男性が壁斜めに始めるファイブ・ステップで、最大左へ1/4回転と定義されています。このテキストにおける「ミニがつかない」ファイブ・ステップは、男性が中央斜めに始め、左へ3/4回転し、LODに沿って終わります。この踊り方はポピュラー・バリエーション集に出てくるターニング・フォー・ステップのファイブ・ステップ版と言えましょう。
576 ミニマル・ウエイト(Minimal Weight)
ステップする足に全ての体重を移さず、ほんの少しだけかけること。ミニマルは英語で「できるだけ最小限の」の意味。
577 ミュージカリティ(Musicality)
音楽性。
◆ミュージカリティのみに関連したことではありませんが、ルカがDVD「ダンスバイブル」の中で、「理解にはメンタル(頭)、フィジカル(体)、そしてエモーショナル(心)の3つの側面がある」と説明しているのは興味深いです。
★上手なダンサーを見ていると肩の動きに音楽を感じることでしょう。(R.グリーブ)
★音楽性とは信じること。そこに音楽があること、そして、あなた自身に音楽のセンスがあると信じることです。そして、音楽に触れ、音楽と繋がり、音楽が何を伝えようとしているか理解し、理解したことを行なうことです。音楽を使わないで踊っていても音楽性が感じられなくてはなりません。(マッシモ/インタビューで)
578 ミュージック/音楽(Music)
現代の私たちの周りには音楽がふんだんにあり、踊りに行って音楽に不自由することはありませんが、昔はどうだったのでしょう。今はスタジオに行ってもパーティーに行ってもCDやMDで、あるいはパソコンから音楽が流れてきますが、ほんの少し前まではレコードとカセットテープでした。グラムフォンと呼ばれるレコードが世の中に出てきたのが1930年代。しかし、まだ踊りに適するレコードが殆どなく、そこにビクター・シルベスター氏率いるバンドが標準テンポをかかげて登場したのですから、それは革命的な出来事だった気がします。
では、その前はどうだったのでしょう ― ピアノです。これは今でもバレエ・スタジオで見かけます。また、ダンスのスタジオに数名の楽師が来て演奏することもあったようで、そのためのスペースが一角に設けられていたとの話を聞いたことがあります。その頃、そしてその前には、「教師は大きめのポケットに入るくらいの小さなバイオリンを自ら弾いて教えた」という一文を英国の資料(THE HISTORY OF BRITISH POPULAR DANCE/Lyndon Wainwright)に書かれているのを見つけ、どのような楽器だったのか調べてみました。この挿絵がそれです。ポケット、あるいはポシェット・バイオリン(全長46cm、幅46mmくらい)と呼ばれていたようです。また、写真(下)は筆者が2014年オークランド記念博物館で偶然見つけたポシェット・バイオリンです。音楽があることの歓びは現代とは比較にならないほど大きかったに違いありません。
★私がチャチャチャから見たいのは、ボディの動きです。私はボディの中に作られる音楽の重要性を信じています。音楽を通して創り出される感情をあなたが感じとることができるなら、それは、あなたが集中している証拠です。(T.ナイハーゲン)
★私がヘンリー・ジェイクスから教わった言葉に「何をやろうとも、音楽を踊りなさい」というのがあります。(R.トラウツ)
★姿勢を保ち、膝をソフトに使うには肩から足への体重のかけ方に音楽を染み込ませてあげることが最も重要です。(M.ヒルトン)
579 ムーチ(Mooch)【J】
ISTDのテキストに出てくる基本フィガーのひとつ。英語の意味は「ぶらつく、うろつく、盗む、ねだる」など。ポピュラー・バリエーション集(ラテン)でも紹介されています。
580 ムービング・ダンス(Moving Dance)
タンゴを除くスタンダード種目でスイング・ダンスとも言います。タンゴはスイングのない歩くことを基本とする踊りのため除かれます。
581 ムーブメント(Movement)
動き。
★ムーブメントと言うとき、私の意味するところはアクションであって進んでいくことではありません。なぜなら、あるカップルが一晩中フロアを駆け回ったとしても、そこにムーブメントがない場合もあり得るのですから。良いムーブメントのカップルは動きがスムーズなだけでなく、そこに生命が宿るよう十分配慮しているのです。(L.スクリブナー)
★動きは緊張を増やしてではなく減らすことで変わります。動きは健康や精神状態に大きな影響を与え、有害な動きは、おおむね気づかない間に行なわれています。また、動きの質の違いが消化、呼吸、心臓の動きに影響を与えます。(アレクサンダー)
★ダンスはウエイト、スペース、エネルギー、タイミングの4つから成り立っています。ムーブメントをよく見せることもラインを作ることもこの4つが関連しており、この4つが「表現」を生み出します。私達は表現したいから踊るのです。ボディを使い、音楽に合わせて表現しようとしているのです。(R.グリーブ)
★ラテンでもボールルームでも呼吸を止めないようにしましょう。呼吸を止めた動きに魅力は宿りません。時に、呼吸を意識した練習をしてみましょう。(サークルで)
★ボールルーム・ダンスで「ガンガン大きく動きたい! 」と思っても、頑張るほどには大きく動けません。ビル&ボビー・アービンたちが現役時代に行なった実験を紹介しましょう。ワルツでウィスク ~ シャッセ・フロム・PP ~ ナチュラル・スピン・ターンを、スローならフェザー・ステップ ~ リバース・ターン ~ スリー・ステップを踊ります。スタート地点を決め、1回目は頑張ってどこまで到達できるか調べます。2回目は頑張らずに力を抜いて踊ります。ビル&ボビーが発見した結果は、2回目の方の距離が楽に伸びていることでした。(サークルで)
582 メイ・ポール(May Pole)【S】
男性がサーキュラー・ボルタを踊る間、女性はコンティニュアス・ボルタ・スポット・ターン(スポット・ボルタ)を踊ります。
◆メイ・ポールは文字通り5月(メイ)の柱(ポール)。高い木を立て、その上から垂らした色とりどりのリボンを手にした男女が、踊りながら木の周りを回ります。5月1日のメーデーに行なわれる春を祝う祭で踊ります。
583 メダル・テスト(Medal Test)ダンスを習う生徒が上達のレベルを知るために受ける試験で、英国ではブロンズ、シルバー、ゴールド、ゴールド・スター、そして、その上のレベルの試験もあるようです。
★メダル・テストを受ける人にも先生の中にも、メダル・テストと競技会では大きな違いがあると考えている人たちがいるのには驚かされます。メダル・テストは主にブロンズとかシルバーといったレベルでの個人の能力を評価するのに対し、競技会はシラバス制限のない中で参加者を比較しているだけで、両方とも良いダンスを考慮している点では共通部分が多くあるのです。(L.スクリブナー)
584 メトロノミック・スイング(Metronomic Swing)
メトロノームの動きのように、脚部より頭部が大きく振れる運動のこと。例としてクイックステップのティプル・シャッセが挙げられます。➡532 ペンジュラム・スイング
585 メヌエット(Minuet)
ゆっくりとした3拍子の踊り。フランスで発生し18世紀終わり頃まで貴族達に最も好まれた踊り。(Virginia)
★当時有名だったダンスの先生、ボーシャン(Beauchamps)が作った踊りで、歩幅が小さかった(仏語 menu は小さい意味)ところからこの名が付きました。(Complete)
586 メルト(Melt)【LA】
英語の意味は「溶ける、(感情などを)和らげる」。IDTAのラテンで用いられる用語で、素早い動きの後の緊張したボディの状態から力を抜いて安定した状態にしていく動作のことで、メルティングの語も使われます。
587 メレンゲ(Merengue)
1800年代半ば過ぎにハイチやドミニカ共和国で生まれた踊りで、テンポの早いメレンゲの曲に乗り、足を余り持ち上げないツー・ステップで踊るペア・ダンス。
◆メレンゲの踊りで足を持ち上げないのには2つの説があります。
(1) 奴隷達が足に鎖をつながれたままドラムの音に合わせてサトウキビを収穫していたときの名残。
(2) 19世紀、戦から傷ついて帰還したヒーローを歓迎する祭りを開いた際、踊りが大好きだったそのヒーローは負傷した足でびっこを引いて踊りました。それを見て人々は彼を哀れみ、傷つけまいと、同じように足を引きずって踊ったことに由来する。(Street)
★砂糖と卵の白身からできるお菓子のメレンゲからこの踊りの名前が付けられた可能性があります。理由は、踊りがお菓子のように軽やかで、たわいなく、明快な短いリズムだからです。(Complete)
588 メレンゲ・アクション(Merengue Action)【LA】
サンバのプレイトやジャイブのチキン・ウォークスで男性が用いる踊り方で、1歩の間に2つのアクションを、2歩の間に4つのアクションを使います。
参考:G002 メレンゲ・アクションって何?(Merengue Action)
★モリー・スペイン(Molly Spain) ➡《フランク・フォード》
589 モダン(Modern)
➡236 スタンダード・ダンスとモダンとボールルーム・ダンス
590 ユイット(Huit)【P】
パソ・ドブレの基本フィガーのひとつ。ユイットは仏語で数字の8の意味。8歩構成のフィガーであるところからこの名がついており、闘牛士がケープを振る様子を表しています。別名ユイ、ケープ。
591 ラ・パッス(La Passe)【P】
パソ・ドブレの基本フィガーのひとつ。
★このフィガーは、闘牛士がケープに向かって牛が突進するよう仕向け、牛が突進してくるとケープを翻す、そうした様子を表しています。(Concise)
592 ライズ(Rise)
現在の位置より高い所へ上がる運動で、一般的にはフット・ライズ、ノー・フット・ライズ、ボディ・ライズの3種類を指し、単に「ライズ」と言う場合にはボディと脚部を使って上がり、これにはフット・ライズとボディ・ライズ両方が含まれます。この場合のライズする順序は、ボディが伸び → 膝が伸び → ヒールが上がる、です。
593 ライズ & フォール(Rise and Fall)
ムービング・ダンスの中で作り出される頭の上下運動全般をいい、アップ、ダウン、フォール/ロアー、ライズの種類があります。それぞれの意味は各項目を参照してください。
★ライズ&フォールには実用面の他、音楽を解釈してダンスを表現する手段でもあります。それなしではスイング・ダンスの命も優美さも欠くことになります。(H.ジェイクス)
★ライズ&フォールは主としてリズムに合わせたボディ・アクションによって起こり、それを筋肉が補佐します。ボディが落ちる傾向にある人は筋肉によるコントロールが必要ですが、誤ったフットワークによって阻害されることのないようにします。また、いかなるときも不自然な動きであってはなりません。(L.スクリブナー)
★ミルコ&アレッシアはDVD「王者のテクニック」の中で、ワルツのライズもロアーも、その足で4拍使う練習法を示していました。(サークルで)
★動きを細かく見てみましょう Column
テキストにはステップ毎のライズ&フォールが書かれていますが、そこに含まれた意味を考えてみると次のようになると思います。*下記説明に使われる歩順は一例です。
- 1の終わりでライズ開始(Commence to Rise at the end of 1)1歩目軸足の膝が少し緩み、体重がトウへ移動しながらヒールが床から離れていく、徐々に行なわれるライズに用いられる表現。この場合、1の初めでは前のステップでの運動が継続しています。
- 1の終わりでライズ開始(NFR)(Commence to Rise at the end of 1 / NFT)1歩目軸足の膝が少し緩み、ヒールが床についたまま膝が伸びていきます。
- 1の終わりでライズ(Rise at the end of 1)軸足の膝が少し緩み、体重がトウへ移動しながら次の足に体重移動する前に膝が伸びます(伸びきりませんが)。「1の終わりでライズ開始」より急激なライズが行なわれ一気に高い状態へと移動します。女性がヒール・ターンするときの男性の1歩目は常にこの動きになります。その他にも、男性のスピン・ターン5歩目やクイックステップのナチュラル・ターン1歩目、ランニング・フィニッシュの1歩目などのように、急激な方向チェンジをするときなどにも用いられます。
- 2でライズ継続(Continue to Rise on 2)両膝は少し緩んだ状態で、両足のヒールが少しだけ床から離れている状態。
- 2~3でライズ継続(Continue to Rise on 2 and 3)2のときよりも更に高くライズしながら3の足へ体重移動すること。まず両足のヒールが床から離れた両膝が少し緩んだ状態から、3の足へ体重が移動しながら3の足の膝が伸び、体重移動が完了してからも膝が伸びていきます(伸び切りません)。
- 2~3でアップ(Up on 2 and 3)1の終わりでライズした高さを2~3まで維持すること。両足トウに上がり、フット・ライズしています。
- 3の終わりでロアー(Lower at the end of 3)(2の足はフット・ライズしたまま)3の足のトウからヒールにロアーし、次に膝が曲がること。次が後退のステップの場合、体重はヒールの上を通過していきます。次の足が前進のステップの場合、軸足の体重はボールの上を通過して(ヒールは床に着きますが体重はかけません)、次のステップにはヒールから出ていきます。
- 4でダウン(Down on 4):3の終わりでロアーした状態を4の間保つこと。
★ワルツの波はひとつじゃない Column
ワルツの基本フィガーに見る異なるライズ&フォールを図にして比較してみましょう。「ワルツのステップは波のように」と考えている人も多いかと思いますが、ワンパターンでないことが見えてきます。
- パターン1(3と6歩目で両足が揃うフィガー): クローズド・チェンジ/ナチュラル・ターン/リバース・ターン
- パターン2(3と6歩目で両足が開くフィガー。3歩目で両足が開くか(&)カウントのある1小節のフィガー): ウィスク/シャッセ・フロム・PP/ホバー・トゥ・PP/ウィーブ・フロム・PP/ターニング・ロック/バック・ウィスク/女性のウィング(男性のライズはとても低いです)/右へのシャッセ/オープン・フィニッシュ/アウトサイド・チェンジ/クイック・ウィーブ/左へのシャッセ
- パターン3(ピボット/インピタス・ターンを含むフィガー): ナチュラル・スピン・ターン/オープン・インピタス・ターン(1~3はナチュラル・ターン前半)
594 ライト・ランジ(Right Lunge)【ST】
単にランジと言う場合はライト・ランジを指します。ライト・フット・ランジと言うこともあります。➡600 ランジ
★ライト・ランジでは、基本的には二つのエネルギーが流れます。ひとつは下半身から生まれて前方に出ていくエネルギーと、もうひとつは、上半身が後ろへいくエネルギーです。これにより背中のストレスは解放されます。(ロレイン)
♦594-1 ランジ・ポイント(Lunge Point)
セイム・フット・ランジの一連の動きをせず、直接最後の形になることです。
595 ラウンダバウト(Roundabout)【S】
サーキュラー・ボルタの別名。ラウンドアバウトとも言います。
◆この英語には、メリーゴーラウンドとかカローセルと同じ「回転木馬」の意味があります。余談ですが、英国でよく見かける環状交差路もラウンダバウトと言います。
596 ラグ(Rag)/ラグタイム(Rag-time)
19世紀末から20世紀初頭にかけアメリカで流行した音楽のジャンル。19世紀、ミズーリー地方の黒人ミュージシャンがブルースを基本に独自の演奏法を編み出し、これが従来のクラシック音楽のリズムとは違う「遅い」リズムと思われたことからragged-time、略してragtimeと呼ばれるようになりました。リズム的特長としてはシンコペーションと呼ばれるリズム構成を主体とし、拍の弱部を強調することによって、従来のクラシック音楽とは異なる印象を与えます。(Wikipedia)
597 ラテラル(Lateral)
英語で「横の・横への」の意味で、スタンダード、ラテン・アメリカン両方で動きの方向を示すときに使われることがあります。「縦方向」の意味合いではリーニア(Linear)が使われます。
597-01 ラテラル・スイング(Lateral Swing)
横へのスイングのこと。(例:ワルツのナチュラル・ターン1~2歩目)
598 ラテン/ラテン・アメリカン(Latin/Latin American)
国際競技としてのラテン・ダンスにはルンバ、チャチャチャ、サンバ、パソ・ドブレ、ジャイブの5種目が含まれますが、一般にラテン・アメリカンと言うとボレロ、クンビア、ランバダ、メレンゲ、バチャータ、マンボ、サルサなども含まれます。
◆英語の「ラテン」にはラテン語や古代ローマ人の意味の他、ラテン・アメリカンの意味もあります。北米以南の中部・南アメリカなど、かつて、ラテン語を起源とする言語を持つスペインやポルトガルが征服した国々をラテン・アメリカと称します。
◆ラテン・ダンスが競技種目として現れるのは、私の資料を見る限りでは1953年のインターナショナル選手権からです。
★ラテン・アメリカンがフランス経由で英国に入ってきたのは1920年代のことで、その基礎確立にはフランス人のピエールの功績が大きい。チューリッヒ大学でエンジニアリングを学んでいた彼は、あるときテニスボールが目に当たって失明したのをきっかけに大学を中退してパリに住み、そこで通ったダンスホールでキューバ、アルゼンチン、スペイン、ブラジルからの移民たちの踊りに接するようになったのがきっかけでラテンの才能に目覚めました。彼のパートナーを務めたドリス・ラベル(Doris Lavelle)はボールルームの女王と言われたジョセフィン・ブラッドリーに対し、ラテンの女王と称され、ピエール自身はエンペラーと称されました。(Concise)
★ラテン・アメリカン・ダンスは成熟し、この10年の間に優れたダンサーや教師たちによって成し遂げられた成果は、今後の時の試練に耐えうるものと確信しています。今は素晴らしい時代ですからダンサーの皆さんの成功を祈っていますが、歴史の勉強をしてください。歴史なくして将来はないのです。(G.ハーン)
599 ラテン・クロス(Latin Cross)【LA】
➡123 キューバン・クロス
600 ランジ(Lunge)
フェンシング用語の転用で英語の意味は「突く、突き」。フェンシング同様に、片膝を深く曲げた状態で、もう片方の足を横に伸ばした形のこと。➡431 ピクチャー・ステップ
601 ランナウェイ(Runaway)【R/C】
女性がファン・ポジションに開く前に、一度男性に背を向けるアクション。英語で「暴走、家出、駆け落ち、逃亡者」の意味。
602 ランニング・フィニッシュ(Running Finish)【Q】
テキストにより、単独で扱われている場合と、ジグザグ~バック・ロック~ ランニング・フィニッシュの中で扱われている場合があります。カウントは(QQS)と(SQQ)の使い分けが可能です。いずれの場合も、男性の次のステップはアウトサイド・パートナーに出ていきます。
◆ケン・アクリル氏のテキストに「ランニング・フィニッシュは、今は消えてしまったランニング・ジグザグと言うフィガーの最後の4歩が残ったものです」とありました。ジェイクス氏のテキストで調べると、ランニング・ジグザグは、ジグザグの2歩~ランニング・フィニッシュの3歩から構成されていました。
★【追記 2022/04/11】
190 ジグザグ(Zig-Zag)下の追記「ジグザグ~バック・ロック~ランニング・フィニッシュ(Zig-Zag ~ Back Lock ~ Running Finish)」参照。
603 ランニング・ライト・ターン(Running Right Turn)【Q】
10歩(テキストにより11歩)で構成されるクイックステップの基本フィガーのひとつで、ナチュラル・ピボット・ターン、スローのナチュラル・ターン、そしてランニング・フィニッシュから成り立っています。カウントは(SQQSSSSQQS。11歩のときは次のSまで)。早いカウントの踊り方(SQQSSQQSQQ)を見たことがあります。
604 リーディング・フット(Leading Foot)
体重が乗っていない、次に出ていく足。リーディング・レッグ(~ Leg)、ムービング・フット(Moving Foot)、ムービング・レッグ(~Leg)、フリー・レッグとも言います。➡238 スタンディング・レッグ
★軸足の回転する向きは、フリー・レッグが真っすぐ出ていける方向になります。フリー・レッグが方向を決める訳ではありません。そうなると、両サイドが同時に回ってしまいますから。(B.ワトソン LA)
★ムービング・フットはできる限り長くフラットでフロアに接し続けていること。(オリバー ST)
605 リードとフォロー(Lead & Follow)
リードとは男性が次に行なうフィガー、進行方向、形、タイミングなどを女性に対して伝えることで、フォローとは女性がそれを感じ取って従うこと。ラテンでは、特に女性が離れて男性に背中を見せて踊るタンデム・ポジションや、サイド・バイ・サイド・ポジションでは、女性がリードし男性がフォローすることもあります。
★「リードとは男性が控えめに提案するムーブメントを女性が行ない、それに男性がついていくこと。人生と同じ? 」、「男性の右手は女性の背中についていく。女性の背中を動かすわけではない」(G.ハーン)
★すべてのフィガーに対するリードは男性の役目であり、女性は男性がビギナーであったとしても手伝おうとしてはならない。(H.ジェイクス)
★リードとは「会話」です。つまり、一人が話しかけ、もう一人がそれに応える、そんな感じです。会話ですから二人が同時に話す(動く)ことはありません。一人ずつ話(動くこと)をします。(オリバー)
★一人一人の女性は優秀でなくてはなりませんが、男性のリードには従わなくてはなりません。男性が正しかろうと、間違っていようと。女性は男性の脊椎についていき、男性の右手についていき、男性のヒップ・レベルに、そして男性のライズ・アンド・フォールについていきます。(ボビー)
★コーヒーを飲もうとしたら彼女がさりげなくミルクを回してくれた。散歩していて気づいたら、彼が車道側を歩いていた。こうしたさりげないリードとフォローがダンスでも求められます。(サークルで)
606 リズミック・クーペ (Rhythmic Coupes)【Q】
ポピュラー・バリエーション集に出てくるフィガー。説明を見る限り今日のペンジュラムと同じに見えます。
◆リズミックは「軽やかな、軽快な」で、クーペは「クーペ型自動車(2ドア箱型)。最近では2ドアセダンと言うことが多い」と辞書にありました。
607 リズム(Rhythm)
「拍子、調子」のことで、強弱のアクセントの周期的な繰り返し。例えば3拍子はトリプル・リズムと言います。カウントやタイミングの意味もあります。
★ラテン・ダンシングを楽しむのに不可欠の条件はリズムに対する敏感なセンスです。それは正しい音楽を長時間聞くことで発達させることも、向上させることも可能です。(Concise)
★リチャードソン(P.J.S. Richardson)《用語集に収録されていない情報です》
ダンシング・タイムズの編集者。
608 リバース (Reverse)
英語の意味は「反対の、逆の」で、ダンスではナチュラルの右回転に対する左回転を意味します。前進の1歩目は左足で左側よりも右側が大きく進み、後退の1歩目は右足で右側よりも左側が大きく進みます。リバース・フィガーとはリバース系フィガーの総称です。左回転はリバース・ターン、レフト・ターン、レフト・ハンディド・ターン(Left-handed Turn)と表現することもあります。➡396 ナチュラル
♦608-1 リバース・エンディング(Reverse Ending)【ST】
リバース・ターンの4~6に繋げる踊り方。
609 リバース・ウェイブ(Reverse Wave)【F】
基本フィガーのひとつ。
◆ウェイブの意味は「波、さざなみ、うねり」。このフィガー名から左回転を含んだうねりのような動きであることが想像できます。前半はリバース・ターンの3歩、中盤は男性後退のスリー・ステップ、後半はナチュラル・ターンの最後の3歩で構成されています。
◆中盤のスリー・ステップでは女性は男性前進のスリー・ステップと同じフットワークを、すなわち(H-HT-TH)で、始めの1歩(H)ではライズをしません。一方、後退する男性は女性後退のスリー・ステップと同じフットワークをするのかと思えば違います。女性後退時のスリー・ステップのフットワークは右足から(TH-TH-TH)ですが、リバース・ウェイブで男性が踊るとき、右足から(TH-T-TH)です。左足が(T)なのはウエイトを前方の女性の方に保つ必要があるからです。
◆リバース・ウェイブの6歩目からバック・フェザーの3歩、そしてリバース・ウェイブの4~6歩目を踊るのを、エクステンディド・ウェイブ、エクステンディド・リバース・ウェイブ、トリプル・ウェイブと表現することもあります。
★女性が男性のフェザー・ステップとスリー・ステップを踊るときのフットワークは男性のフットワークと変わらないのに、なぜ男性が女性のフェザー・ステップとスリー・ステップを踊るときは女性のフットワークと同じではないのでしょう? 簡単なことです。女性には高いヒールがあるからです。高いヒールは体重を常に前方へと運んでくれますが、男性が女性と同じフットワークにしてヒールを使ってしまうと、ポイズが後方へ動いていってしまい、女性の前進を難しくしてしまうからなのです。(オリバー)
610 リバース・コルテ(Reverse Corte)【W】
ワルツの基本フィガーのひとつ。
◆リバイズド・テクニックでは6歩構成のフィガーとして扱われていましたが、「ザ・ボールルーム・テクニーク」になってからは、「テクニーク・オブ・ボールルーム・ダンシング(ガイ・ハワード著)」と同じく、始めの3歩だけをリバース・コルテとしています。なくなった後半3歩は、1歩目をパートナー・アウトサイドで始めるナチュラル・ターンの4~6歩目になります。
611 リバース・ターン(Reverse Turn)
スタンダード全般で使われる基本フィガー。サンバにもあります。左回転の意味で使われることもあります。
★1922年、フォックストロットのリバース・ターンはオープン・ターンの3歩(SQQ)で後続に男性ヒール・ピボット(QQQQ)が使われていました。あるとき、フォックストロットを練習していた男性が、このヒール・ピボットの2歩目の所で靴が引っかかり(注:多分エナメルのせいで)、その左足を前に出し、次の右足をアウトサイドに出してしまったのがきっかけでフェザー・フィニッシュができました。このフェザー・フィニッシュの形はフォックストロットの踊りをガラリと変えるものでした。右回転するフェザー・ステップ、左回転するスリー・ステップ、それに左回転するフェザー・フィニッシュが加わったのがきっかけで、ダンスにアラインメントの概念が加わったのです。(ビル・アービン)
★タンゴのリバース・ターンの2歩目のことですが、これはフォー・ステップやファイブ・ステップの2歩目と同じく、女性のステップはホール・フットで行なわれます。ホール・フットにすると言うことは、すなわち、その足で進んでいくことはないと言う意味です。所が、女性が積極的に出ていこうとするあまりに前進のステップをしてしまうものですから、男性とのポジションがずれてしまうことになります。しかし、それは当然の結末なのです。(オリバー)
★左回転は右回転とは違い、その前のステップから回転しようとするのは逆効果です。これには二人のポジションが関係しており、前のステップから回転しようとすると、女性が男性の前に動いてきてしまうからです。では、前のステップでは何もしないのでしょうか? いいえ。男性がすることは、前のステップでスタンディング・レッグの筋肉の緊張を解放することです。(オリバー)
★女性にとり左回転で特に難しいのは、自分の右サイドが男性の方に入らないようにすることです。いつでも男性と並行にいる意識を持っていなくてはいけません。(ボビー)
612 リバース・トップ(Reverse Top)【R/C】
ルンバとチャチャチャの基本フィガーのひとつ。フィガー名の意味は「左回転するコマ」。
◆ナチュラル・トップと反対だから左回転すればいいと思ってしまいますが、ホールドの関係上、同じようには動けません。ナチュラル・トップの回転軸が男女の足の間にあるのに対し、リバース・トップでは男性左足が二人の回転軸になります。
613 リバース・ピボット(Reverse Pivot)
スリップ・ピボット同様に1歩のステップがひとつのフィガーとして扱われており、ワルツ、フォックストロット、クイックステップで使われます。ワルツでは(&)カウントか1拍、フォックストロットとクイックステップでは(S)、(Q)、あるいは(&)カウントのいずれかを使って踊ります。➡440 ピボットとピボッティング・アクション
◆「いまは消え去ってしまいましたが、かつてクイックステップにあったリバース・ピボット・ターンと言うフィガーの4歩目だけが、現在リバース・ピボットとして残っています」と、ケン・アクリル氏のテキストに書いてありました。後年入手したヘンリー・ジェイクス氏の本で調べると、男性はスローのリバース・ターンの要領で最初の3歩を(S)カウントで踊り、4歩目が現在のリバース・ピボットになっていました。
614 リバース・プロムナード・リンク(Reverse Promenade Link)【T】
ISTD教本のプロムナード・リンクの項にでているフィガーで、中央斜めに進み、3歩目で男性が中央斜めに面して終わる形の踊り方。リバースが付く理由として、プロムナード・リンクをLODに沿って踊る場合、男性が右に1/8回転か回転しない形で踊りますが、中央斜めに進む場合は男性が左に1/8回転しなければならないためと考えられます。
615 リバイズド・テクニック(Revised Technique)
世界でバイブルと称されてたボールルーム・ダンシングをより簡素化し、チャート化した教師用ダンステキスト(ムーア著)。初版は1948年に発行されています。長年教師用テキストとして愛されてきましたが、ダンスの変化に伴い追加、削減の必要性が生まれ、現在はボールルーム・テクニークに取って代わられました。
616 リルティング(Lilting)
ブルースで使われる踊り方で、(S)カウントの足が床につき、(&)カウント、すなわち(S)の後半で膝を緩め、次の足が通過する際膝を伸ばし気味にします。英語の意味は「軽快に動くこと、陽気に歌うこと」。
617 リルト(Lilt)
英語の意味は「軽快な動作」。ボールルーム・ダンシングのヴィニーズ・ワルツでは、ナチュラル・リルトとリバース・リルトが紹介されています。
618 ルエダ (Rueda)
サルサで複数のペアが輪になって踊る群舞。1950年代キューバの首都ハバナで発生した踊りで、何種類もの踊りのパターンを持ち、リーダーの掛け声で踊りを次々替えていきます。また、頻繁にパートナー・チェンジをするのも特徴的。リーダーの掛け声はすべてスペイン語ですが、中にはコカコーラとかケンタッキーなど、お馴染みの名前もあります。ルエダはスペイン語で「輪、車輪」等の意味です。サルサ・ルエダ、ルエダ・デ・カジノとも言われます。
619 ルドルフ・ロンデ(Rudolph Ronde)【ST】
スクエアから男性が右足前進し、女性に左足を軸に右足を後方へロンデをさせフォーラウェイの形で終わる踊り方。このとき女性の右足は床を掃くようにロンデすることもできますし、床から離してロンデすることもできます。この中空に振り上げるロンデをエアリアル・ロンデ(Aerial Ronde)と言います。どちらの形をとるかは男性のリード次第です。ルドルフ・フォーラウェイ、あるいは単にルドルフとも言います。
【動画追加 2022/01/26】
★ルドルフは当然、映画俳優のルドルフ・バレンチーノから付けられました。バレエのスター、ルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev)とはなんら関係ありません! (P.ヘイラー)
◆ルドルフ・バレンチーノ(Rudolph Valentino 1895-1926)はイタリア生まれの映画男優で、「グレート・ラテン・ラバー」のニックネームを持っていました。彼が主演の映画「黙示録の四騎士(The Four Horsemen of the Apocalypse、1921年作)」の中に酒場でタンゴを踊る場面があり、そこでこのロンデをさせるシーンが見られます。
★【追記 2022/03/19】アンソニー・ハーレイ氏が「このフィガーはヘンリー・キングストン(Henry Kingston)によって紹介されました」とフェイスブックで教えて下さいました。以下、原文。
“The Rudolf Fallaway was introduced by Henry Kingston, who was as many of my era will know was a wonderful coach, choreographer and the inventor of many figures being danced today.”
620 ルバート(Rubato)
ソリストやダンサーが自らの判断で音楽の一部を瞬間的に長くしたり短くしたりして表現しようとすること。ルバートにはイタリア語で「盗まれた~」の意味があるようです。
621 ルンバ(Rumba)
音楽はラテンのバラード形式の4/4拍子で、1分間に28小節くらいのテンポで演奏されます。基本のリズム:234(1)、234(1)で1にアクセントがあります。ワルツやタンゴと共に、ルンバはとても人気の高い踊りです。ゆっくりとしたラテン音楽の中で、滑らかで流れるような動きをします。
◆ルンバの語源はスペイン語のルンボ(rumbo)で大酒盛りをして楽しむ、浮かれ騒ぎ、ばか騒ぎの意味のようです。
★本来のルンバは、200年ほど前にスペインからキューバに輸入されたアフリカ人奴隷によってもたらされたと言われています。公然と踊るにはあまりにも乱れていると、キューバでは次第にその踊りを禁止しました。時が経つにつれて禁止令は忘れ去られて、1920年代に少数の人たちが踊り始めたことで、人々はルンバの踊りの存在に気づき始めたのでした。1925年に再びマチャド大統領より出された禁止令には次のように書かれていました――
「(アフリカの音楽を指しながら)この種の音楽とルンバの踊りはキューバの素晴らしい社会習慣や規律に反するものである」と。
いずれにせよ、ルンバはあまりにも淫らで熱狂的過ぎたためキューバの上流階級では踊られなかったことが記録として残っています。エロチックな動きの多くは踊りの原型、例えば「ロバの蹄鉄打ち」とか「ロープを登る」仕事や、「農家の庭先での鶏の求愛行為」の形からきています。女性が身にまとう長いひだひだのスカートは、雌鳥の羽根を表わし、男性のシャツの袖や胸元のひらひらは雄鶏の首の羽根を表わしたものです。(Street)
★1920年代のピエールの踊りはアルゼンチン・タンゴと初期の形のパソとサンバでしたが、20年代後半にキューバのバンドがパリで新しいルンバという音楽と踊りを教え始めるや、ピエールは飛んでいってそれを修得したのでした。(Concise)
【参照】G030 ルンバの歴史 G055 ルンバの源流を旅する
622 ルンバ・ウォーク(Rumba Walk)【R】
ルンバで使われるウォーク・アクションで、基本的にはフォワード・ウォークとバックワード・ウォークを指しますが、これにチェックト・フォワード/バックワード・ウォークを含めることもできると思います。➡057 ウォーク
★この踊りは、雄鶏の歩く姿、そして雄鶏が雌鳥を追いかけているところから発生し、今日でもそうした世俗的なアクションの幾つかが残っています。足を床に密着させてゆっくりステップし、腰が横に振れます。(ルンバでボールからステップするのは)裸足だった奴隷たちがサトウキビ畑を歩くとき、まず体重をかけずにゆっくり足を出し、鋭い切り口のサトウキビが地面にないかどうか確認してから歩いたからです。また、ステップがゆっくりしているのは、ゴキブリを踏み潰す動きからもきていますし、肩や頭を静かにしておくのは、重いものを頭に乗せてバランスを保っていた奴隷時代の名残です。(S.アイム)
【追記 2022/06/18】原文は → G095 Memories of Figure Names 21 – Rumba Walk (英日)
★ルンバ・ウォークの踊り方は1歩目で加速、2歩目はその動きを継続し、3歩目では減速、そしてストップに入っていきます。(B.ワトソン)
★ルンバでの脚の使い方は、両方の太腿を引き寄せあって、美しいトーンを作るように心掛けます。ちょうど、とてもきついミニスカートをはいているような感覚です。1歩毎に太腿にトーンを保つと、とても長いレッグ・アクションを作ることができます。(クリクリビー&カリーナ)
623 ルンバ・クロス(Rumba Cross)【Q】
ナチュラル・ターン5歩目から入る3歩構成(QQS)の右回転フィガー。➡433 ビッグ・トップ
★1930年代半ばに現れたとき、その魅力にセンセーションが起きました。ルンバ・クロスの斬新さは左足を前進しながら右回転する点にあります。フィガー名は、当時、デモンストレーション・ダンスとして流行っていたカリオカ(踊りの一種)と頭の使い方に幾分共通性があったところから、ラテン系の名前が付けられたようです。(P.ヘイラー)
【追記 2022/02/21】ヘイラーさんの説明全文を掲載します。
このアクションが登場した当時(1930年代半ば)、クイック・オープン・リバース・ターン、ランニング・ライト・ターン、そして当時実験段階であった様々なシンコペーション・タイミングとの対比が魅力的で、大きなセンセーションを巻き起こしたのです。(当時は、「クイック」を一定数以上続けて踊ることは、良いスタイルとは考えられていませんでした)。
ルンバ・クロスの斬新しさは、もちろん、左足を前進しながら右回転する動作であり、このフィガー名に「ラテン」名がついたのは、当時人気のあったデモンストレーション・ダンスのカリオカのトップの形に似ているためだろうと思われます。
名前の説明が何であれ、ルンバクロスはその人気を維持しており、現代の基準では「シンプル」と見なされる可能性がありますが、ボディコントロール、フットワーク、パートナーとの調整がなければ、纏まっておらず、バランスが取れていないように見える可能性があります。(“THE WORLD OF PHYLLIS HAYLOR AND BALLROOM” P162)
【追記 2022/06/18】ヘイラーさんの原文 → G081 Memories of Figure Names 8 – Rumba Cross(英日)
★レオナルド・パトリック(Leonard Patrick)《用語集に収録されていない情報です》
妻のダンスの原点となる英国での先生を紹介します。妻の恩師パトリック先生が1986年9月13に他界されました。私たちが帰国したのが1975年春の事――本当にお会いする機会を失ってしまったことが心残りでなりません。訃報は “ポッターさん” という方がパトリック先生の遺品の中から私たちの事を知ったらしく、全く知らない私たちに親切にも手紙をくださったのです。
後日郵送されてきた雑誌「ダンスジャーナル」には、彼女の回想録が掲載されていましたので、私たちが尊敬する先生の事を少しでも皆さんに知って頂きたいと思い翻訳してみました――ポッターさんの記事を読みながら、私は、レッスンが良く分からないといって泣きながら帰ってきた妻の事や、私たちの帰国が近づくにつれ寂しさを増した先生の顔を思い出しました。(神元)
(写真は帰国前、感謝の気持ちを込めてパトリック先生をロンドン市内の日本食にお連れした時のものです)
(パトリック先生のお墓はフィリス・ヘイラーさんと同じPutney Vale Cemeteryにあります)
◇ ◇ ◇
「ダンスジャーナル」よりポッターさんの記事
レン(レオナルドの愛称)は発病後まもなくロンドン市内のウェストミンスター病院にて9月13日に亡くなりました。痛みを表に出さない人で、亡くなる4週間前までスタジオ188(ハマースミスにあるフィリス・ヘイラー女史の教室。番地名だけで分かるほど有名だった)で働いていたのですから、彼の死は親しい者にとっても大変な驚きでした。
13歳のとき兄妹と行ったパーティーで初めてダンスを踊った彼は瞬く間にベーシックを覚え、教室に通い始めることになります。努力家で、勘もよく、天性のリズム感のよさもあり、やがて地区大会で優勝を重ねるようになりました。その才能は一流の先生に認められ、やがてロンドン市内で教える傍ら上級指導を仰ぐことになります。
戦時中は英国空軍に従事し、復員後再びダンスの道を歩みます。1950年、ケンジントンのヘイラー女史の元に加わり、第一男性補佐役として働き始めました。ドリーン・キイ(Doreen Key)とパートナーを組むのはそれから3年後の1953年の事です。この二人の組み合わせはラテンダンスにPatric_Doreenおけるあらゆる「素晴らしいもの」を意味する言葉同然となります。主要なインターナショナル・プロ・ラテンアメリカンのタイトルを殆ど獲得し、その中には1959年の世界選手権も含まれていますし1962年にはデュアル・オブ・ザ・ジャイアンツ(巨人の決闘)でも勝利を収めています。
たとえ一歩の事でも納得するまで何時間でも練習する完全主義者でした。自分たちのルーティンは全て自分で創るという優れた振り付けの才能を持っていました。休暇は主にスペインで過ごし、闘牛見物やスペイン舞踏にふけたりすることが多かったのですが、この二つが新しいバリエーションや優雅さと気品溢れる本物の動きの踊りを生み出したのでしょう。特にパソに才能を示し完璧に自分の物としていました。サンバにも定評があり、サンバ・ロールといえば「彼」というほどでした。他にもドリーンの為に自ら素材を選んで競技ドレスをデザインしたりもする、芸術的才能の持ち主でもありました。
1954年3月17日、英国プロ・ラテンアメリカン選手権にて勝利を収めてから6月までの間、立て続けに3つものタイトルを獲得し、ラテンの世界を制覇した二人ですが、モダンも非常に得意で、エイト(8種目)やナイン(9種目)ダンス競技でも好成績を残しました。数多くの国際大会に英国代表として参加した二人はヨーロッパで大人気でした。国内外の競技にデモ、そして指導と広範囲に活躍した彼らの経歴には次のようなことも含まれています――
●クイーン・エリザベス号を含むあらゆる客船でダンスの指導とデモをし、1964年にはカロニア号で3ヶ月にも及ぶ長旅をしています。
●BBCのシルベスター・ダンシング・クラブやATVのメロディ・ダンスに頻繁に出演。
●1962年クリスマスにはバッキンガム宮殿にて女王陛下とフィリップ後退にパソ・ドブレを披露。お二方にご紹介授かる誉も戴いております。
現役の日々はやがて遠ざかりますがハマースミス教室での彼の指導は続きます。マーディ・クラブ(教室で火曜日に開かれていた定期的な仲間の集まりを指すのではないかと思う)や土曜の夜のパーティーなどでカウンターの中から飲み物をサーブしつつ冗談を言い、気の利いた話をする彼の周りには人がたくさん集まりました。彼の教え子の中には彼をダンスの先生としてのみならず、人生の師と仰ぐ人も多く、そうした人々と生涯のお付き合いをしていました。気性の短いところはあったものの、繊細で、温和で、親切で、そして自分の好きなように人生を歩んだ人でもありました。そんな彼が病院で治療事故の犠牲となったのは1980年の事。3ヶ月の入院期間中必死に戦いますが、元の体には戻りませんでした。
ダンス以外にはテニスが趣味でした。ウィンブルドン大会には必ずと言っていいほど出かけ、プロの試合を熱心に観戦していました。 しかしどちらかといえば自らプレーする方を好み、陽の光や新鮮な空気を満喫していましたが、懸命に上達を目指した点ではフロアーの上と全く同じでした。亡くなる4週間前のテニスが彼の最後のゲームになってしまいました。
多才で、賢く、愉快な人だったレンは人生を愛し、こよなく人を愛した人でした。笑うことが大好きな、魅力一杯の人でした。読者のあなたには、きっと、あなただけの思い出があることでしょう。 (D.E.ポッター)
Patric & Doreen
恩師レオナルド・パトリック氏のことば (神元久子)
ロンドン、ハマースミス188(フィリス・ヘイラーズ・スクール・オヴ・ダンスィング)-そこで2年半教えを受けたパトリック先生は、当時50代半ばくらいでした。元ラテン・ワールド・チャンピオンにも拘らず、マンツーマンのレッスンをなさっていました。イギリスのダンス界でも少し風変わりな方ということは、外人の私にも教室内の雰囲気から伝わってきたくらいです。人種の偏見もなく、日本人の生徒を熱心にご指導くださったのは本当に有難い事でした。
ダンスになると、ご自身にも非常に厳しく、“今はダイエット中なんだ” とか片足トウでしっかり高くバランスを取る練習やスピンの練習をなさりながら、満足が行かないと“ノー・グッド”と言い、首を横に振ったり、ということもありました。それでも街中を歩く後ろ姿は、白い髪以外はまるで若者のようでした。当時、若くしていろいろ悩みの多い私に、
“人間やらなければならない時はやらなければならない”
“何かことを成そうとしたら、他の何かを諦めなければならない”と。
私の帰国で淋しくなるといいつつ、“セ・ラビ(それが人生なんだ)”と、もらしたり・・・・ 今でも事ある毎に思い出す先生のことばです。
私にとってパトリック先生はダンスのみならず、人生の師になりました。
【追記 2021/10/12】
パトリック先生の1956年の映像を見つけました。見つけたのは “Das Bundesarchiv” (The Federal Archiveの意味)というドイツのサイトです。
624 レガート(Legato)
音楽用としては、音と音の間に切れ目を感じさせず、滑らかに続けて演奏する方法ですが、ダンスでは、切れ目のない動きを指します。反対はスタッカート。
625 レッグ・スイング(Leg Swing)【ST】
脚部を振ること。脚部のみを振ろうとすると詰まった動きになるので、常にボディ・スイングの先にレッグ・スイングがあると考えるのが大切です。
★ボディ・スイングとレッグ・スイングはダンスの主動力、ドライブをかける力と言えましょう。(H.ジェイクス)
★靴を投げ出します。(ロレイン)
★真直ぐ立ったところで片足を振ってみます。次に、足を振りながら体を少しだけ前後左右の何れかに傾けると、足が上手く振れないのが分かります。このことから、スイングできるのは軸足に真直ぐ乗っているときだと分かります。また、軸足に力を入れても振り足に力を入れても、やはりうまく振ることができません。このことから、スイングするには両脚部に不要な力をいれてはいけないことも分かります。(サークルで)
626 レビラード・ランズ(Revirado Runs)【S】
ポピュラー・バリエーション集(ラテン)で紹介されているアマルガメーションのひとつで、3歩構成の前進ラン。カウントは(SQQ)か(QQS)。オリジナルの形は、例えば左足前進の場合、左足前進(S)、右足閉じる(Q)、その場で左足に体重移動(Q)。
◆海外の音楽学校のHPに、レビラード(スペイン語)=クレージーと書いてあるのを見つけました。また、ネット上の西語辞書には「性格の悪い、荒々しい、イラついた」の意味も出ていますが、このフィガー名と関連しているのでしょうか?
627 レフト・ウィスク(Left Whisk)【W】
テキストではワルツに出てくるフィガーですが、クイックステップ、スロー・フォックストロット、タンゴでも使われます。
★このフィガーは1950年代初めにチャールズ・シーボルトにより考案されました。最初の形は2歩目も3歩目もライズし、3歩目の終わりでロアーする形(そこから右へツイストしてPPで終わる)でした。しかし、ISTDはこの変形PPでライズする形は難し過ぎるとして認定しませんでした。それならばと、ライズをしない形のレフト・ウィスクを提案し、それが認められたのでした。レフト・ウィスクにライズがないのには、こうした背景があるのです。(S.ヒリヤー)
★ダンスの発展においてレフト・ウィスクはとても大事なステップです。踊っている二人のボディ・ポジションが劇的に変わった最初のステップだからです。もともとは、ウィスクの後に男性が右回転して2回目のウィスク(※ボディ・ポジションを変えないレフト・ウィスクの形)を踊る形で、これを「ウィスク・トゥ・ウィスク」と言いましたが、その後チャールズ・シーボルトが2回目を左に回転するウィスクにし、それが現在よく知られているレフト・ウィスクになりました。女性の右ヒップが男性の左ヒップに収まるこの形は、ダンス史上、革新的な変化でした。(R.グリーブ)
628 レフト・ランジ(Left Lunge)【ST】
PPから男性左足、女性右足を強く踏み出して作るライン。➡600 ランジ
629 レントラー(Ländler)
通常3/4か3/8拍子の素朴なカントリーダンス。もともとレントラーはゆっくりとした踊りで、ホップしたり足を踏み鳴らしたりしていましたが、更に早いテンポでさらにエレガントなボールルーム・ダンスへと発展しました。ワルツの前身。
630 ロアー(Lower)
現在の位置より低い所へ移動する運動のこと。ライズ&フォールの「フォール」がそれを示していますが、実際の説明の中ではロアーの言葉が使われます。ヒールの上がった状態からロアーする場合、最初にサポーティング・フットのトウからヒールに下り、それから膝が曲がっていきます。ロアーは「ダウン」の意味で使われることもあります。➡593 ライズ&フォール
★ベニー・トルマイヤー(Benny Tolmeijer)からロアーについて、「砂が詰まったリュックを背負っている感じ」と教わりました。ロアーでは背中の重みをフロアに下ろすようにするのです。(M.ヒルトン)
★解剖学的に見ると、膝を曲げるには限界があります。ですから、「もっとロアーしなさい」というアドバイスを受けた場合、一般的にはもっと深く膝を曲げることではなく、もっと長くスタンディング・フットの上にいて、できる限り長く静的エネルギーを蓄えられる状態にいなさいと言うことなのです。(オリバー)
631 ロープ・スピニング(Rope Spinning)【R】
ルンバの基本フィガーのひとつ。通常、アレマーナの最後で女性が右へスパイラル・ターンし、そこから6歩で男性の周りをウォークして戻るフィガー。テキストではルンバで取り上げられていますが、チャチャチャで使うこともできます。
◆ロープ・スピニングと聞いて、カウボーイが馬上でロープを回しているシーンを思い浮かべませんか? 馬上でなくても、輪になったロープを回すことをロープ・スピニングと言い、器用なカウボーイは自分の前でその輪を回したり、輪の中に入ったりします。ロープを放つのはラリアットとかラソウ(Lariat, Lasso 投げ縄)と言うようです。プロレスファンは、あの荒業ウェスタン・ラリアットを思い浮かべたことでしょう。
632 ローリング・オフ・ディ・アーム(Rolling Off the Arm)【J/S】
ジャイブとサンバの基本フィガーのひとつ。チャチャチャでも使われます。
◆名称のローリング・オフとは「転がり落ちる」と言う意味の英語で、踊りでは女性が回りながら男性の腕から離れていく様子を表わしています。
633 ロック(Lock)
Lockは「足をかける、交差する」意味で、フォワード・ロック・ステップのように使われます。➡152 クロスとロック
634 ロック(Rock)
Rockは「前後に揺れる」意味で、ロック・ターンのように使われます。
635 ロンデ(Ronde)
足を後ろから前に、あるいは、前から後ろに弧を描くように行なう動作。➡619 ルドルフ・ロンデ
◆ロンデする足は、トウのインサイド・エッジが床とコンタクトしていきます。
636 ロンデ・シャッセ(Ronde Chasse)【C】
左足前進 → 右足に体重を戻す → 左足を軽くロンデしながら右足後ろにクロス → 右足を左足横に → 左足を横にステップ。以上のアクションの最後の3歩がロンデ・シャッセで、男女共通で使えます。
637 ロンデ・スイブル(Ronde Swivel)
スイブルと同時にロンデ・アクションを用いるアクション。
638 ワーリギグ(Whirligig)
ポピュラー・バリエーション集に紹介されているタンゴのバリエーション、男性が女性の周りをウォークするフィガー。ホワーリギグとも書きます。
◆ワーリギグの意味は「回転木馬、くるくる回るおもちゃ(コマ、風車など)」。この言葉に含まれるワール(ホワール)は回転の意味があります。
639 ワシントン・ポスト(Washington Post)
ツー・ステップで踊るアメリカのフォークダンス。(Street)
640 ワパチャ・タイミング(Guapacha Timing)【C】
チャチャチャで用いられる音の取り方をずらす踊り方。カウント1(音の長さQ)の足の上で更に1/2拍(&カウント分)長く留まって次のステップに出るのを遅らせ、その分、次のステップを1/2拍(&カウント分)で踊ります。ホワパチャとも書きます。
◆ワパチャ(スペイン語)はキューバ、あるいはスペインで1800年代に発生したワラチャ(Guaracha/チャチャチャの祖先にあたるようです)という音楽と踊りから派生し1960年代に流行。ワパチャ・タイミングはこの音楽と踊りからきています。また、ワパチャ・タイミングはクロス・ベーシックのみならず、オープン・ベーシックなど、他の所での使用も可能です。
◆「ワパチャはスペイン語の Guajiro(田舎者)からきている旨のことがJATDの最新ダンス用語辞典に書かれていますが、個人的にはそこまで辿りつけていません(涙)」と拙書「私のダンス用語ノート」で書きましたが、その後、フェイスブックで知り合ったアルゼンチンの人に尋ねると、「私はコロンビア語で幸せ、祝う、踊ることと理解しています」と返事をくださいました。そこでコロンビア語関連から更に調べていくと、コロンビアの楽団のHPの中に次のようなワパチャの説明を見つけました ― 「ワパチャには幾つかの意味があり、ラテン・アメリカンの多くの国々では”可愛い”、”友好的な”の意味で使われているが、他にも、”ハッピー”、”広い心の”、”他と違う”、”特別な”、あるいは、”パーティー向きの人”などの意味もある」とあり、非常に納得できました。
【追記 2021/08/11】コロンビアの楽団のHP
【備忘録 2021/10/05】
- “Technique of LATIN DANCING” (by Walter Laird / IDTA 1977)には、”GUAPACHA timing (pronounced WHAPPACHA)とある。
- 「ラテンダンス入門」(若林政雄著 1978)には「ウヮッパ・タイミング Quapa Timing」と出ている。
- “Latin American Cha Cha Cha” (ISTD 2003)には、”GUAPACHA TIMING (“Guapacha” is pronounced “Whappacha”)とある。
- “THE LAIRD TECHNIQUE OF LATIN DANCING” (IDTA 2014)には、”GUAPACHA (pronounced WHAPACHA)とある。
641 ワルツ(Waltz)
音楽は緩やかな3/4拍子で1分間に30小節くらいのテンポで演奏されます。基本のリズムは(123,123)で1にアクセントが置かれています。とても人気の高い踊りで、「ダンスはワルツに始まりワルツに終わるとも言われています。一般的にステップは1小節で3歩踏み、3歩構成のものと6歩構成のものがあります。テンポの速いヴィニーズ・ワルツと区別する意味で、スロー・ワルツと呼ばれることもあります。
★ワルツの前身はボストン(ボストン・ワルツ)と呼ばれる踊りで、それが英国に伝わり人気が出たのは1922年以後のことです。第1次世界大戦直後にワルツの形態が大きく変わり、1922年になりビクター・シルベスターがチャンピオンシップで優勝したとき、英国のワルツは、それまでの単なる右回転と左回転、そしてチェンジ・オブ・ダイレクションの組み合わせから、それ以上のものへと発展したのでした。(MBD)
★1920年5月、ダンシング・タイムズのフィリップ・リチャードソンの提案で会議が開かれ、200人ほどの先生たちが集まり二つの決議がされました。ひとつは、自らディップや足を高く上げるステップ、あるいはサイド・ステップや立ち止まってポーズをとることで、ダンスの流れを邪魔しないこと。もうひとつは、16名の委員を任命し、今後のステップを検討してもらうことでした。1921年の会議で、ベーシック・ムーブメントは「ステップ、ステップ、閉じる」と決められました。そのとき、もうひとつ推奨された重要なことがあり、それは「足が通過するときは膝を揃えること、そして両足を並行にすること」でした。このことにより、それまで使われていたバレエの5つの足のポジションが正式になくなったのです。(SBPD)
◆ワルツの歴史の中で「抗議の嵐」と言う表現を見つけ背景を調べたことがあります。まず、(Street)にこう書かれていました ― 「宮廷の踊りはおおむね列をなし、離れたポジションに立ち、堂々と威厳を持った踊りをして農民たちに自分たちの優れた行儀作法や高貴な身分を示しました。所がワルツでは男女が組んで踊るクローズド・ポジションをとったため、これを見た当時の女性達は、女性にとって恥ずべき(俗悪わいせつ)ことと決めつけました。公共の面前でダンス用の仮面をかぶり、お互いが触れあう踊りに人々は眉をひそめました。こうした背景の中、抗議の嵐が起こり、各地でワルツの禁止令が出たりしました」。また、ビクター.シルベスター著の「モダン・ボールルーム・ダンシング」には、「こうした状態が束の間続いたものの、世の中はこの新しい踊りに降伏したのです。それはロシアのアレキサンダー皇帝(Emperor Alexander)が特権階級に限られた高級クラブ、アルマックスの部屋でワルツを踊っているところを見られたときからでした」とありました。
◆18世紀当時のダンス教師たちはワルツを脅威に思いました。なぜなら、彼らが教える宮廷ダンス(メヌエットなど)では、たくさんの複雑なステップと様々なポーズを習得するのにかなりの練習を必要としたのに対し、ワルツの基本ステップは短時間で覚えることができたからです。そこで教師達は、ワルツでは男女が宮廷の踊りより密着している点や、回転が激しいことを取り上げ、モラル上の問題があると非難したのです。宗教の上層部はワルツを下品で、罪深い踊りであるとみなしました。このようにして、ヨーロッパの宮廷舞踏界はワルツを頑固に拒否し続け、イギリス(厳格なモラルの地)ではワルツが受け入れられるまでに長い時間を要しました。(参考文献:http://www.centralhome.com)
■参考:G026 ワルツの歴史
642 ワンステップ(One-Step)
ワンステップはアメリカが起源と言われています。ターキー・トロットやグリズリー・ベアなど1910年代の多くのダンスはワンステップに合うよう変更され、時としてウォーキング・ステップと呼ばれることもありました。このアメリカスタイルのワンステップはドッグ・トロット(足のボールを使って踊る)のスタイルで踊られたと言われています。そして徐々に、もともと殆ど同じ踊りだった現代のクイックステップに道を明け渡したのでした。英国のワンステップ(アメリカのより大人しいタイプ)は1911年にアメリカに紹介され、新しいラグタイムの音楽で踊り大いに人気を博しました。(Street)
643 ワンピース(One Piece)
カップルとしての踊りがひとつにまとまっているときに使われる表現。洋服のワンピースと同じ。