G006 質問4 スリップ・ピボット女性3歩目のフットワーク

投稿者: | 2020年2月19日

G006 質問4 スリップ・ピボット女性3歩目のフットワーク

2014年に頂いた質問と回答です。明快な回答に至った訳ではありませんが、同じ疑問を抱いている人の、少しは役に立つかも知れないと思い記録に残します。

 

質問
ダンスの教科書 Ballroom Dance Technique (Revised Technique) のワルツのフォーラウエイ・リバース&スリップ・ピボットの3歩目に「女性3歩目はトウなのにロアー」と記述してあるのが理解できません。何人かの先生に質問したのですが、答えが無く悩んでいます。(下画像矢印部参照)

 

回答1

非常に難しい質問です。 女性3歩目はTにも関わらず、「アップ、3の終わりでロアー」とあるのは「足のロアー ではなく、女性が男性の高さに合わせようとするときに起こる必然的なロアー(ヒー ル降りる必要のない)と考えます。

ここを女性が、「フットワークがTなのでアップで踊りましょう」と思って踊ると、3~4歩目にかけて、男性は女性が高く居すぎる違和感を覚えますので、女性は男性とのコンタクトのズレ(※実際のズレではなく、コンタクトを保つ中での「ずれの始まり」)が起こらないようにして踊ると、必然的にトウに上がっている高さが低くなる踊り方になると思います。これをボルテクではロアーと表現している気がします。

「それをロアーと表現するのは正しいか?」との疑問が残りますが、テキストの中で簡潔に表現するとそうなってしまうのかも知れません。因みに、この現象はスピン&ピボットの連続でも起きていると思います。

以上が、テキストの説明を読んで解釈した考えです。自分がこのフィガーのライズ&フォールを説明せよと問われたら、「女性は3の終わりでロアー」の説明は出て来ないと思います。もう少し勉強して更なる説明ができそうになったらまたご連絡いたします。また、本日、英国のISTDに問合せもしましたので返事が入ってきたらお知らせします。

 

 

回答2

先回答でISTDに質問しているとお伝えしていましたが、その返事は折り返し届いていました。しかし十分に納得がいかないのでIDTAにも質問し、その返事を待っていましたが、一向に返事が来ないので、先にISTDの返事をお知らせします。

 

■私の質問は、

1.女性の3歩目が「Tのフットワークのまま、アップ、3の終わりでロアー」になるのはなぜか?
2.私の考えるロアーの定義は「ヒールが床に着き、それから足首 → 膝 → 股関節が緩む」だが、それは間違っているのだろうか。でした。

 

返信は以下の通りです:

The lady would lower her heel towards the floor as she steps into step 4 of the Fallaway Reverse and Slip Pivot, although the heel will not touch the floor. She should not remain high on the toes when the man is lowering on that step, but it is a rather odd step as Lady, as her legs are in such strong CBMP. She should also make sure that that step is not taken too big. The lady should also make sure that the correct footwork of TH is being danced by the man!!

拙訳:「3歩目ではヒールが床に着かないがロアーする。トウで高く居ようとすべきではない。しかしこれが女性にとって少々変わったステップなのは、両脚部が深いCBMPになるからだ。男性がスリップ・ピボットでTHと踊る時、女性は歩幅を大きくすべきでもない」。

 

■返信には「何かあったら遠慮なく聞いてください」と付け加えられていたので、(未回答だった部分の)私の考えるロアーの定義は「ヒールが床に着き、それから足首→膝→股関節が緩む」だが、女性の3歩目には、そのどのアクションも含まれていないのにロアーとあるのは、用語としてロアーを使うのは正しいのだろうか、それとも私のロアーに対する定義が間違っているのだろうかと尋ねました。これに対する回答は:-

 

Just the same way as you can be ‘down’ but the footwork can be ‘toe’, example lady’s step 4 ‘Natural Spin Turn’, there are degrees of lowering actions as well – such as the one about which you are asking. Don’t forget that Alex Moore often used to quote “The technique is only a guide” – meaning that there are really ‘degrees’ in many aspects of technique, but it would make the technique book too heavy to carry if you included every little nuance of every figure!!

拙訳:「例えばナチュラル・スピン・ターンの女性の4歩目もTだが、そこでもダウンしていて、色んなレベルでのロアーの仕方があるのです。アレックス・ムーアの話「テキストはガイドにしか過ぎない」を忘れないでください。つまり、あるひとつのテクニックにも多様なレベルがあるのです。それを事細かに書いて行くと、テキストは分厚くなってしまいます!」です。

 

(下記画像はリバイズド・テクニックの前書きにある「テキストはガイドにしか過ぎない」を示す一例)

 

 

■残念ながらロアーの定義についての回答はありませんでした。

ロアーのレベルが色々あってもその定義がなくてはならないし、もし、スリップ・ピボットでのロアーが特殊なのであれば、そこにだけ注記できるとも思います。

ダウンに関しての私の考えは、ロアーしたレベルがどうであれ、ダウンはその高さを保つことです。よって、これ以上は無理と思い、お礼のメールを書いて終わらせました。

 

■IDTAのテキストを調べると、手元の1995年のガイ・ハワードのテキストにはISTDと同じく、「Tで、アップ、3の終わりでロアー」とありましたが、2011年のは「Tでアップ」に改訂されていました。

(1995年版)

(2011年版)

 

■そこで、その理由が分かればロアーの定義も推察できると考え、その理由と両者の踊り方にどのような違いが生れるかを問合せしましたが、今の所(2014年以降このブログを書く時点まで)返事を受け取ることができていません。(以上)

 

 

テキストを読んでいるとこうした疑問を見つけることがあります。しかも、自分ではちゃんと分かっていると思っているフィガーであっても、こうした疑問や発見をすることがあります。そんなときは、自分のダンスに対する理解が深まったが故の、そうした疑問・発見なのだと思うことにしています。

 

この質問は完全解決とはなっていませんが、自分に出来ることはやり尽くしました。「まあそのうちに、ひょんな所から答えがやってくれるに違いない」 ―― そう思いつつその日が来るまで、心の中からこの問題を解放することにします。

 

ハッピー・ダンシング!